外壁塗装の中でも、初日に行われる「高圧洗浄」はとても重要な工程です。しかし、実際には「何時間くらいかかるの？」「その間、家でどう過ごせばいいの？」と疑問を持つ方が多い工程でもあります。

高圧洗浄の時間は、家の大きさや付帯部の洗浄範囲によって時間は前後します。そのため、事前に目安を知っておくことが大切です。

この記事では、高圧洗浄にかかる時間の目安、乾燥に必要な期間、当日気をつけたいポイントまで詳しく解説します。工事前の不安をしっかり解消して、スムーズに外壁塗装を進めましょう。

外壁塗装の高圧洗浄が必要な3つの理由

外壁塗装の工程の中でも、高圧洗浄は「仕上がり」と「耐久性」を左右する非常に重要なステップです。見た目を整えるだけでなく、塗料を長持ちさせるためにも欠かせません。ここでは、高圧洗浄が必要な根拠を3つに分けて解説します。

汚れ・カビ・苔を落として塗料の密着を高めるため

外壁には、時間とともにチョーキング（旧塗膜の粉化）や排気ガス汚れ、カビや苔が付着します。これらが残ったまま塗装すると、塗料がしっかり密着せず、数年で浮きや剥がれが起きやすくなります。

高圧洗浄で汚れを丁寧に除去することで、塗料が外壁にしっかり食いつき、仕上がりと耐久性が大きく向上します。

古い塗膜や剥がれを取り除いて剥離を防ぐため

外壁に古い塗膜の剥がれや浮きがあると、新しい塗料を塗ってもその部分から再び剥がれてしまいます。汚れが残ったまま塗装すると、塗料が密着しないため施工後わずか数年での剥離につながることもあります。

高圧洗浄は、古い塗膜や弱った部分を除去するための重要工程で、「長持ちする塗装」に欠かせない作業です。

美観を整え、ムラのない塗装をするため

外壁にゴミや汚れが残ったまま塗装すると、仕上がりの見た目にムラや凹凸が発生する原因になります。特に色の濃い塗料では、汚れの影響が仕上がりに現れやすいです。

高圧洗浄で表面を均一に整えることで、塗料のノリが良くなり、ムラのない美しい仕上がりが実現します。まさに「良い塗装は良い洗浄から」と言われるほど重要な工程です。

外壁塗装の高圧洗浄はどれくらい時間がかかる？

高圧洗浄は外壁塗装の初日に行われる作業で、家全体の汚れを落とす重要な工程です。作業時間は家の大きさや洗浄範囲によって変わりますが、一般的な戸建てであれば数時間で完了します。

一般的な戸建ては「2〜4時間」が目安

30〜40坪ほどの住宅なら、外壁のみの洗浄で2〜4時間程度が一般的な作業時間です。汚れが少なく作業しやすい環境であれば、さらに短くなることもあります。

外壁＋付帯部（雨戸・雨樋など）も洗う場合は3〜5時間

雨戸や雨樋、破風、軒天などの付帯部も一緒に洗浄する場合は作業範囲が広がるため、外壁のみより時間がかかります。その場合は、全体で3〜5時間ほどを見込んでおくと良いでしょう。

外壁塗装の高圧洗浄後の乾燥時間の目安

高圧洗浄の後は、塗装を行う前に外壁をしっかり乾燥させる必要があります。この乾燥が不十分だと、塗料の密着が弱まり、早期の剥がれや膨れの原因になるため、非常に重要な工程です。

一般的には1〜2日乾燥が必要

通常の戸建て住宅であれば、高圧洗浄後の乾燥時間は1〜2日程度が目安です。表面が乾いたように見えても、内部に水分が残っていると塗膜不良につながるため、しっかり時間を確保します。

• 乾燥が不十分だと塗装剥がれ・膨れの原因になる
• 塗料が密着するためには完全乾燥が必要

乾燥時間が変わる要因

実際の乾燥時間は、天候や季節によって大きく変わります。以下の条件が揃うと乾燥が遅れやすくなるため注意が必要です。

• 雨：洗浄後に雨が降ると乾燥が1日以上伸びることも
• 湿度：湿度が高いと乾燥しにくい
• 気温：低温だと水分が蒸発しにくい
• 季節差：冬は乾燥に時間がかかり、夏は早い傾向

とくに冬場は気温が低く湿度が高いため、場合によっては2日以上乾燥させるケースもあります。業者と日程を調整し、十分な乾燥時間を確保することが大切です。

外壁塗装の高圧洗浄にかかる時間が変わる3つの要因

高圧洗浄の作業時間は「家の大きさ」だけで決まるわけではありません。外壁の状態や付帯部の有無など、さまざまな要因が時間に影響します。ここでは、洗浄時間が前後する主な3つのポイントを解説します。

家の大きさ（坪数・外壁の面積）

最も時間に影響するのが、家の大きさや外壁面積です。家が大きいほど洗浄すべき面が広くなり、当然ながら作業時間も長くなります。

• 30坪：2〜3時間
• 40坪：3〜4時間
• 50坪：4〜5時間

屋根洗浄も同時に行う場合は、さらに時間が追加されることがあります。

汚れ・カビ・苔の量

外壁の汚れ具合も作業時間に大きく影響します。特に以下のようなケースでは時間がかかります。

• 苔・カビが広範囲に付着している
• チョーキング（粉化）が強く出ている
• 日当たりの悪い北面に汚れが溜まりやすい

汚れが多い場合は、洗浄機の圧を調整しながらじっくり洗うため、通常より時間を要します。

付帯部（雨戸・軒天・雨樋）の洗浄範囲

外壁以外の「付帯部」を洗浄するかどうかも、時間を左右する大きなポイントです。付帯部とは、雨戸・雨樋・破風・軒天など、外壁周りの細かいパーツのこと。

• 雨戸の枚数
• 雨樋の長さ
• 軒天の面積

これらを丁寧に洗う分、外壁のみの場合より30分〜1時間以上追加されることがあります。逆に、外壁のみの洗浄なら短時間で終わるケースもあります。

外壁塗装の高圧洗浄の流れ

外壁塗装の高圧洗浄は、ただ外壁に水をかけるだけの作業ではありません。建物を傷つけないように準備を整え、外壁全体と付帯部をしっかり洗い、十分な乾燥期間を設けるまでが一連の工程となります。ここでは、実際の流れを分かりやすく解説します。

① 養生（必要な場合）

高圧洗浄では強い水圧を使用するため、周囲に水が飛び散らないように窓・給湯器・玄関まわり・植栽などを保護する「養生」を行う場合があります。状況に応じて簡易的にビニールをかけたり、周囲との距離を見て必要な範囲を調整します。

② 外壁の全面洗浄

建物の上部から順番に、専用の高圧洗浄機を使って外壁全体を洗います。カビ・苔・汚れ・古い塗膜・チョーキング（粉）などを落とし、塗料がしっかり密着できる状態を作ります。

壁材を傷めないよう水圧を調整しながら進めるため、手間と技術が必要な工程です。

③ 雨樋・破風・軒天など付帯部の洗浄

外壁以外にも、雨樋・雨戸・破風・軒天などの付帯部も丁寧に洗浄します。これらの部位は汚れが溜まりやすく、塗装の仕上がりを左右するため、外壁と同様にしっかり洗う必要があります。

細かい部分は圧を弱めて洗ったり、場合によっては手洗いで落とすこともあります。

④ 外壁の乾燥（丸1日）

洗浄が終わったら、外壁を最低でも丸1日乾燥させます。表面が乾いていても内部に水分が残っていることが多いため、十分な乾燥が不可欠です。

きちんと乾燥させることで、塗料の密着が良くなり、仕上がりが美しく耐久性も向上します。

外壁塗装の高圧洗浄を行う当日に気をつけたい4つのこと

高圧洗浄の日は、普段の生活にいくつか制限が出る場合があります。事前に知っておくことで、ストレスなく過ごせるだけでなく、洗浄作業を安全に進めることにもつながります。ここでは特に注意したい4つのポイントを紹介します。

洗濯物は外に干せない

高圧洗浄では、強い水圧で汚れを落とすため、水しぶきが周囲に飛び散ります。また、落ちた汚れやカビが風に乗って付着する可能性もあります。

当日は外干しができないため、室内干しかコインランドリーを利用するのがおすすめです。

窓の開閉は基本NG

窓を開けたままだと、洗浄水が室内に入り込む恐れがあります。洗浄中は窓の閉め忘れに注意しましょう。また、洗浄後も窓が濡れている場合があるため、作業が完全に終わるまでは不用意に開くのは避けるのが安心です。

音が出るため在宅ワークは注意

高圧洗浄機の作動音は大きく、想像以上に「ゴーッ」という音が響きます。そのため、オンライン会議や集中して作業したい時間帯に重なると影響を受ける可能性があります。

在宅ワークが必要な場合は、作業時間を事前に確認し、会議の時間調整をしておくと安心です。

車・自転車に水がかかる可能性がある

洗浄時の水しぶきや汚れが、敷地内に停めてある車や自転車に付着することがあります。事前に移動しておくか、カバーをかけておくと安心です。

とくに風の強い日は飛散範囲が広がるため、前日のうちに移動の準備をしておくとスムーズです。

外壁塗装で高圧洗浄だけでは落ちない汚れはどうする？2つの対処法

高圧洗浄は外壁の汚れを効果的に落とせますが、すべての汚れに万能というわけではありません。カビや強い付着物、古い塗膜の剥がれなどは、高圧洗浄だけでは取りきれないことがあります。その場合は、追加の作業を組み合わせて外壁を塗装に適した状態へ整えます。

ブラシ洗浄や薬品洗浄（カビ・苔用）を併用

外壁に広範囲のカビ・苔・藻が発生している場合、高圧洗浄だけでは完全に除去できないことがあります。その際は、専用のカビ取り剤やバイオ洗浄液を使った手作業のブラッシングを併用します。

• 北側や日当たりの悪い場所に多い
• 放置すると再発や塗装剥がれの原因になる
• 専用洗剤での手洗いで根を断つことが可能

旧塗膜の剥がれはケレン（手作業）で除去

古い塗膜が剥がれていたり、錆が発生している場合は、高圧洗浄では完全に落としきれません。このような場合は、ケレン作業と呼ばれる手作業での表面処理が必要です。

• ワイヤーブラシやスクレーパーで削って落とす
• 鉄部のサビは放置すると塗膜膨れの原因に
• 下地を整えることで新しい塗料が密着しやすくなる

高圧洗浄だけで済ませるのではなく、外壁の状態に合わせて複数の補助作業を行うことで、塗装後の仕上がりと耐久性が大きく向上します。

外壁塗装の高圧洗浄でよくある質問（FAQ）

Q：作業中は家にいないとダメ？

基本的には在宅していなくても問題ありません。高圧洗浄は外での作業なので、立ち会い不要で進められます。心配な方は「不在でも大丈夫か」事前に業者へ確認しておきましょう。

Q：高圧洗浄ってうるさい？

掃除機より少し大きい程度の音が出るのが一般的です。高圧洗浄機のモーター音に加え、水が外壁に当たる音が響くため、静かな作業とはいえません。

そのため、もし在宅ワークでオンライン会議をしている場合は聞き取りづらくなる可能性があります。また、ご近所にも多少音が届くため、事前の挨拶でトラブルを防止しましょう。

Q：水は家の中に入ってこない？

通常は室内に水が入ることはありません。窓やサッシ周りは養生でしっかり保護されます。ただし以下のケースでは注意が必要です。

• 窓が半開きのままになっている
• サッシの劣化で隙間が大きい
• 雨戸を閉め忘れている

作業前に窓の施錠とカーテンレール周りの確認をしておくと安心です。

Q：雨の日に作業しても大丈夫？

基本的には雨天でも高圧洗浄作業は可能です。洗浄は水を使う工程のため、多少の雨なら問題ありません。ただし以下は注意点です。

• 豪雨・強風の場合は中止になることがある
• 外壁の乾燥に時間がかかり、後工程がズレる可能性
• 気温が低い雨天は乾きが遅くなる

スケジュールがタイトな場合は、雨天時の対応について業者へ事前に確認しておきましょう。

まとめ｜外壁塗装の高圧洗浄は当日の準備をしておけば安心

外壁塗装の高圧洗浄は、多くの戸建てで2〜4時間ほどで完了する短い工程です。ただし、洗浄後の乾燥に丸1日程度必要なため、実質的には「1日がかりの作業」と考えておくと安心です。

当日は、洗濯物を室内に干す、窓を閉める、車を移動する、ご近所へ挨拶をしておくなどの準備が大切です。事前に準備さえしておけば、当日のトラブルはほとんどありません。不安がある場合は、気になる点を事前に業者へ相談しておきましょう。